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子どもの遺伝子検査について。

今回は「遺伝」の話です。

ネット等で行われている商業的な遺伝子検査についての話です。

最近あまり広告等目立たないので、今はさほどトピックではないのかもしれませんが。

 

結論から言うと、

ほぼ占いレベルと言って良いでしょう。

 

数年前にウェッジという雑誌で特集が組まれていて、

それのサブタイトルが「疫学か易学か」とありました。

すでに占い的と思われているわけです。

私だけが言っているわけではないのです。

 

検査によって以下のような結果があり得ると思います。

 

①あなたは一般よりも癌に1.2倍なりやすいです。

②あなたは肥満しやすい体質がこうだからダイエット法はこちらです。

③あなたのお子さんはコツコツ型だから勉強法はこちらです。

など

 

①について。

ある特定の疾患に関して特定の遺伝子変異がある場合とない場合の発症率を比較したもの。

特定の遺伝子変異がある集団の方がない集団に対してリスクが1.2倍だったということ。

それをいきなり、あなたは普通より1.2倍癌にかかりやすい、と表現しているわけです。

 

②について。

肥満に関与しているだろう遺伝子の報告はありますが、肥満の要素は間違いなくそれだけではないです。

 

③について。

性格なんかわかるわけがないです。

 

これらの検査を行ってもほぼメリットはないと言って良いでしょう。

 

むしろデメリットの方が多いでしょう。

以下が考えられます。

 

①検査にお金がかかる

②無駄に心配になる。

③ネットにおいて無駄な広告が増える。

④遺伝情報を企業に奪われ勝手に利用される可能性がある。

 

遺伝情報は究極の個人情報と言われています。

それを企業にわざわざお金を払って提供しているようなものです。

さすがに個人との結びつきはできないようにしているはずですが。

少し前向きに、データに貢献と考えても良いかもしれないですけど。

ただ、ちゃんとした公共のデータベースなどではないので、貢献度は高くなさそうです。

 

一つだけ、人種については面白いかもしれないですね。

自分のルーツは実は結構この地方からやってきたのか?

ロマンがありますね。

 

あと、大事なのがレポートの質です。

以下のようなことが書かれているべきです。

これらがあるのなら、信用して良いと思います。

 

・どのような機器を使用したのか

・どのようなキットを使用して遺伝子を処理したのか

・どのデータベースを参照したのか

・どのような分析ソフトの組み合わせを使用したのか、そのバージョンは

・実際にいくつ多型(多くの人が持っているのとは異なる部分)があったのか

・なんらかの変化が特定された遺伝子に関する参照論文

・実際の多型の内容の専門的記述

(どの染色体にある何という遺伝子の何番目の塩基がどのように変化して、

 アミノ酸にどのような変化をもたらすか?)

など。

 

究極を言ったら、本当に検査を行っているかもわからないと思います。

業者によっては、ランダムに組み合わせたデータをさらにランダムに渡されているだけ、

という可能性もあるのでは?

 

実は、「商業的遺伝子検査」に関しては、相談できるまともな医療機関はありません。

なぜないのか、以下が理由になります。

 

・大学や専門病院などが対応すると、ある意味検査が意義のあるものと認めてしまうことになるので、

 それを避けるため。

・それに対応すると、数多くの人がくる可能性があるので、本当に必要な人の機会を奪うことになるため。

 

もしある特定の症候群や家族性腫瘍の間違いなく原因となる遺伝子変異が見つかった、などがある場合は、

きちんとした医療機関に相談した方が良いし、その場合対応してくれる可能性があります。

しかし、おそらくそういったところはあえて検査していないと思われます。

検査する側のリスクが高いから。

 

ちなみに、自分で検査を受けたのかと言うと、受けていません。

 

やってからものを言え、と言う方はいるかもしれませんが、

私には必要ないし、やりたくありません。

 

もしお困りならご相談ください。

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