言葉は非常に重要ですね。
今回は、やや観念的な話になります。
患者さんの保護者から、
他の医者に、
「この子は気管が弱い」
「この子は肌が弱い」
「よく熱を出すから弱い」
と言われた、ということを聞きます。
完全に私の主観ですが、少し不用意な発言だと思います。
言われても、ひとまず気にしすぎないでほしいです。
「弱い」ってかなりインパクトのある言葉だと思います。
特に医者に言われると。
保護者の中には、
「弱く産んじゃった?」
「弱くさせちゃった?」
などと思ってしまう人もいるでしょう。
また、今度は保護者が本人に、
「あなた、皮膚が・気管が弱いから」と言ったり、
受診時に、「この子皮膚・気管が弱いんです」とか言うようになってしまいます。
本人が物心ついていなければまだ良いですが、
物心ついていて、本人が認識していたらどうでしょうか?
「自分は気管や皮膚が弱いんだ」という認識は有益でしょうか?
弱いから発奮して何かスポーツを始めて強くなった、
みたいな人はいるとは思いますが、
人って必ずしもそうではなくて、
「どうせ弱いから」と思ってむしろそのまま放置、
という人も少なくないのではないでしょうか?
気管や皮膚に関しては、
ひとまず「敏感」で良いんじゃないかと思います。
でも「敏感」なら間違いなくしっかりケアをする必要があります。
ケアを怠って、何回も傷むと、
実際に「弱い」状態に陥ってしまう可能性があるので。
擦り傷などでもそうですよね。
治りきる前にまた傷ができる、を重ねるとケロイドみたいに残りますね。
基本的に年齢を追うごとに落ち着いてくることが多いと思いますが、
医者に相談しながらしっかりケアしましょう。
上記のようなを説明して、
弱くならないように守っていきましょう、
と言った方が、保護者のケアのモチベーションも上がると思います。
でも少しだけ医者をフォローすると、
あまりしっかりやってくれなそうな保護者に対して、
やや脅かし的に言っている時もあると思います。
正直、そう言った方が良いかと思うことは時々あります。
だからもし言われた時には、
もう少しちゃんとやった方が良いのか、とだけは考えて欲しいですね。
次に、よく発熱する場合の話です。
幼児期の繰り返す熱に関しては、
ほとんどが単なる風邪を頻繁にひいているだけで、
2、3日で治って、以下でなければあまり心配しなくて良いでしょう。
もちろん、熱を繰り返す場合は、一応受診していただいた方が良いと思いますが。
・熱が長く続いている(週単位で)
・風邪とは思えない発熱が周期的に続いている
・繰り返す扁桃炎
・熱のたびに肺炎になる
・尿路感染症に頻繁になる
・普通ならかかりにくい感染症になる
など
風邪のたびに毎回熱を出すのは、
ある意味「不器用」なのだと考えて良いと思います。
いちいち熱を出さないと、身体が病原体を覚えないのだと。
大体は、小学校に上がってしばらくすれば、
かなり発熱の回数は減ることがほとんどです。
熱を出しにくいのは、まあそっちの解釈は素直に「強い」で良いと思います。
実際はある意味「器用」なのでしょうけど。
今回以上です。